①短期間で成績を劇的に伸ばせる人の共通点とは?

 今、世の中はめまぐるしく変化しています。

 70年以上続く「暗記重視」の現在の教育制度の下での勉強が、将来、何の役に立つのか?

 疑問に思う小学生、中学生、高校生もいることでしょう。

 学校でも、塾に行っても、復習時間なんて取れないほど、大量の宿題や自習プリントが与えられる。

 先生に言われるまま、一生懸命にやろうとすればするほど、「こんなことやって、何の意味があるのだろうか?」と疑問に思ってしまう。

 もし、そう考えているなら、きっとあなたは正しいのかもしれません。

 スマホのヤフー検索で知りたいことを入力すれば、瞬時に、それらの情報が得られたり、LINEでつながっている知り合いに知りたいことを聞けば、簡単に教えてもらうことができたりする時代に、「暗記重視」の「お勉強」がもはや過去のものであることは、明白です。

 とはいえ、あまり未来のことばかりを語っていても、前には進めません。

 現実に立ち向かって、一歩一歩前に進んでいかなければなりません。

 いくら「既存のシステムは、あまり意味がないのではないか?」とそれとなく感じていたとしても、まずは、そのシステムにしたがって、一定のレベルを乗り越えてからではないと、そのシステムをぶち壊す機会も与えられないのです。

 受験勉強や、学校での定期テストに意味があるとかないとか以前に、自分の行きたい高校や、行きたい大学に入るためには、とりあえずは、入学試験に合格する必要があります。

 推薦入学で大学を受験する場合であっても、学校での成績を上げなければなりません。

 テストで得点できるようにならなければなりません。

 結局、成績を上げることが、多くの人にとって、次のステップに進むための重要な要素になってくるのです。

 学習内容や試験内容自体が将来に役に立つかとか、あまり意味がないのではないか、ということとは、関係なく。

 ここでは、そういった現行の教育制度の中で「成績を上げる」、簡単に言うと、「テストの点を取れるようにする」テクニックの一部を公開していきます。

 世の中には、受験勉強で学習する内容そのものが大好きな人もいるということを知ったとき、私自身、とても驚いたのを覚えていますが、難関大学に合格している人や、学校の成績トップクラスの人であっても、その多くは勉強が嫌いな場合がほとんどです。

 できれば、勉強ではなくて、自分の好きなことや、興味を持ったことだけやりたい、と多くの人が思っているのです。

 あくまで、目標を達成するためのステップとして、多くの人は、勉強をがんばっているにすぎません

 医者になりたいから、医学部に行かなければなれないので、とにかく、医学部に入れるようにがんばろう!といったように。

 予備校で長年講師をしている私自身、「勉強していて良かった」と思うことはあっても、いまだに、手段としての勉強自体が楽しいと思ったことはありません

 だからこそ、生徒に「勉強の楽しさ」を教えてあげよう!なんて思ったこともなく、「できるだけ効率的に短時間で理解してもらい、無駄な説明は省きつつ、応用問題が解けるようにマスターするにはどのように勉強を進めていけばいいか」を意識して、実際、生徒に教えながら、試行錯誤して指導スタイルを確立してきたのです。

 手段としての勉強は効率的にやるほうがいい、という考えからです。

 その結果、ずいぶんと多くの生徒が、自分自身の目標を達成するという結果を出してきました。

なぜでしょう?

 確かに、授業を受けた生徒が、授業内容そのものを深く理解できたから、ということはあると思います。

 学校の授業の説明だけでは理解できなかったり、問題集や参考書の解答や解説を読んで、イマイチ理解できなかったりしたことであっても、「理解するための重要ポイント」を瞬時にとらえ、的確なヒントを生徒に与えながら、生徒自身が解決できるように心がけながら指導しています。

 わからなかったところを理解することは重要です。

 理解なしに、とにかく必要と思われるところを丸暗記しようとしても、入試問題など実力テストでの得点にはつながらないからです。

 しかし、それだけでは、生徒が驚くような結果を出してきた十分な理由とはいえません。

 それに匹敵するくらい重要なのは、授業以外での、「自分ひとりで行なう勉強にどう取り組むか」なのです

 具体的には、「自分で考える力を身につけること」なのです!

 多くの生徒は、私が指導する前、学校の先生や、塾や、場合によっては、親から言われるままに、勉強に取り組んでいて、「今、行なっていることが、自分にとってプラスになるかならないか」を考える機会もなかった場合が多いのです。

 比較的、一生懸命に勉強に取り組んでいる人であっても、ただガムシャラにやっている場合が少なくない。

 自分にとってプラスになる、というのは、別に人生のプラスになるかとか、大きなことではなくても、たとえば、次の定期テストで、得点をアップさせるといったことでもいいんです。

 次の定期テストで、20点得点をアップさせるために、今、行なっている自分の勉強の方法で大丈夫なのだろうか?

 もっと良い勉強法があるのではないか?

といったことをちょっと立ち止まって、自分で考える習慣をつけるように意識するだけでいい。

 いったん、立ち止まって、紙に、自分が今、やらなければならないと思っていることを書き出して、それらを行なう順番を書き出すだけでもいい。

 たとえば、学校で、理科の宿題が出て、数学の単元テストが明後日あって、英検も来週の日曜日に受ける。塾では、英語と数学の予習をしていかないと、管理の厳しい先生に怒られるし・・・・・・。部活動も練習が遅くまであって、朝練もあるから、結局、確保できる時間が3時間しかない!どうしよう。

 そう思ったとき、「とりあえず全部がんばろう!」と思うと、結果、中途半端になって、すべてを失ってしまう。多くの人は、「とりあえず始めて、終わらせよう」と、とにかく始めてしまう。でも、あまりにも眠たくなって、気づいたら朝に・・・・・・。

 でも、ちょっと冷静になって、現実的に考える習慣をつけると・・・・・・。具体的には、紙に書き出して、優先順位をつけるだけでもいい。

 優先順位をつける。

 今、自分はどれを最優先でやるべきか、そして、どれを手抜きするか。

 時間にして数分。

 どういう順番で学習を進めていくか。つまり、常に、勉強法の戦略を考えるのです。

 必要なのは自分で考えること。

 学校の先生がなんと言おうと、親がなんと言おうと、塾の先生がなんと言おうと、結局、「どうするのか」は、自分で考えるしかないのです。

 勘のいい人であれば、もうお気づきですね。

 「勉強法をもう一度、しっかりと考えた上で、勉強したほうがいい」

と私が言うことがきっかけとなって、勉強に取り組むときや、取り組んでいる最中にも「自分が今、行なっている勉強法が正しいのか?」を塾でも、学校でも、家でも考えるようになるのです。

 学習を進めていく順番、つまり、戦略を考えるようになる。

 大きな流れは私が示したとしても、実際、細かな自分にぴったりの勉強法を確立していくのは、生徒自身が自分で行うしかないのです。

 私は、そのきっかけを与えているに過ぎない。

 ただ、その「きっかけ」は、生徒にとっては非常に大切なのです。

 多くの生徒は、それまで、自分の勉強法を冷静に考えたり、課題、宿題、予習、テスト勉強など多くの「目の前のやらなければならない」ことに優先順位をつけてこなしていったりということをしていない場合が多いのです。

 「きっかけ」によって、毎回、勉強方法についてちょっとは考えるようになる。その「ちょっと」の積み重ねが、実は、学校での学習内容そのものよりも、自分の人生にとってとても役立つものになるのです!

 勉強するときに、この習慣、つまり、「自分で考えて行動する」習慣をつけておくと、「学校での学習内容そのもの」よりも、一生に渡って役立つ、生きる力となるのです!

 「得点できる勉強法」について、私は明確な考えを持っています。

 こうすれば、得点できるようになります、と。

 でも、そのことを納得して、すぐに、素直に実行できる生徒はそれほど多くありません。

 「勉強方法を変えたほうがいい」

と私が言うことは、

「これまでのあなたのやり方はダメですよ」

と面と向かって否定することになるわけですから、当然、多かれ少なかれ、言われた生徒が、抵抗するのは自然なことです。

 これまで自分が行なっていた習慣他人に変えさせられることに抵抗するのは当然です。

 生徒のそれまでの勉強環境や、行なってきた勉強の進め方や、通っている学校や、学習に対する意欲は、十人十色だから。

 ですから、授業以外での勉強の仕方、つまり、「自分だけで行なう学習」の方法が的確かどうかは、成績を大幅に上げる鍵となるものです。

 ただ、成績を上げるやり方を聞いたからといって、それをすぐに実践できるほど、成績を上げることはカンタンではありません。

 「ベースとなる勉強方法」をとりあえず実践し、試行錯誤を繰り返し、「自分なりの勉強法」を自分で見つけていかなければならないからです。

 これを自分ひとりで試行錯誤しながら見つけ出すのはとても難しい。

 「生徒が、自分自身で何の勉強をどうやって行なうかを考える」サポートを学校や、塾や、予備校が真剣に考え、それを行なったとき、生徒の成績は飛躍的に上がることになるでしょう。

 そして、何よりも「先生に一方的に知識を教えてもらう」のではなく、「生徒自身が自分で考えて勉強を進めていく時間」は、「生徒が、自分で考え、自分で行動できるようになること」につながるのです。

 ここに書かれているのと同じような考えを持った学習塾や、家庭教師の先生、あるいは、学校の先生を見つけ、あなた自身も、この本に書かれていることを実践し、試行錯誤しながら、自分にぴったりの成績が上がる勉強法を身につけていくことです。

 アメリカのデューク大学のキャシー・デイビッドソン教授が、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューの中で、次のような発言をしました。

「2011年に小学校に入学した子供が社会人となるころ、その65%が今は存在していない仕事に就くだろう」

 これは、今、ものすごい時間をかけて学校で学んでいる学習内容自体は、将来、それほど直接的には役に立たなくなるかもしれないということも示唆しているようにも思えます。

 確かに、現在、学校で勉強している「暗記中心」の授業内容自体は、将来、直接的には役に立たないのかもしれません。

 しかし、どんな学習内容であっても、試験で得点できるようになる「技術や方法」を身につけることは、将来、仕事はもちろん、あらゆる面で役に立つに違いありません。

 「技術や方法」を自分のものにするには、教えてもらっただけではダメで、必ず自分一人で考えて実践し、試行錯誤しなければならないからです。

 

成績をアップさせるためのアドバイスとは?

 

 高2のA君は、私が伝える勉強方法を実行し、6か月で、全国模擬試験の校内順位が、50番台から、2番になりました。なかなか追いつかなかったB君にも、その半年後には、追いつき、その後、B君に抜かされることはありませんでした。

 高3のK君は、受験まで8か月という状況で、最下位に近い成績でした。その高校からは、国公立大学に毎年4人~5人くらいしか合格していない。彼は、223番でした。中一レベルの英語からやり直し、八か月後、国立大学に合格しました。

 「彼がどうして受かったのだろう?」その高校では、噂になっていたそうです。

 

 中2のTさんは、中1の学年末の学校での英語の成績が5段階評価で2でした。学年末テストでの得点は100点満点中17点。あまりにも、英語が不得意ということで、英語をとにかく集中して学習しました。3か月後の期末テストでは、92点でした。成績は2から5に上がりました。

 私が、ちょっと、アドバイスをしたところ、多くの生徒が、短期間で成績を大幅に上げています。

 なぜ、多くの生徒が、成績を大幅に上げることができるのでしょうか。

 その理由は、ズバリ、「勉強方法」を変えたからです。

 勉強方法が間違っていれば「かなり努力」しても成績が上がらないという事実も同時に理解しておかなければなりません。

 「成績を上げる」には、努力以上に、勉強方法がきわめて重要なのです。

 「そんな勉強方法があるはずがない。あったとすれば、誰でも、成績が上がってしまうのではないか」

そう思われるかもしれません。

 もっともなご意見です。

 オイシイ話を聞いたときに、人は、二通りにわかれるといいます。

 「そんなの嘘に決まっている」と決めつけて、背を向ける人。

 「へぇー、面白そうだな。ひとつ聞いてみるか」と興味を持つ人。

 残念なことに、多くの人が、自分の聞いたことのない情報や知識に背を向けるといわれています。

 これは仕方のないことです。

 新しい方法を積極的に受け入れるよりも、今、自分が行なっている方法を捨ててしまうという恐怖心の方がはるかに強いからです。

 受験生も同じです。

 「成績をアップさせる方法があります」と言われて背を向ける人と、興味を持つ人がいます。

 8割の人は、背を向けます。

 いくら成績が上がらなくても、今、行っている勉強方法を変えようとは、なかなか思わないのです。

 実際、私が指導した生徒の中にも、私の示す勉強方法を即座に受け入れ、ぐんぐん成績を伸ばす生徒もいる一方で、3か月くらいたって、「どうして自分の勉強方法が得点に結びつかないか」をようやく理解し、その時点で私の示す勉強方法をやっと実行し始めた生徒もいます。

 これは、現状の学力が比較的高い人であっても、あまり高くない人であっても、同じくらいの割合で、私の示す「勉強方法」をなかなか素直に受け入れない生徒がいるためです。

 とはいえ、なかなか素直に受け入れない生徒であっても、一定期間、私が直接指導できる環境にあれば、多少スタートは遅れたとしても、結局は勉強方法を改善し、その結果、成績を上げることができます。

 しかし、多くの受験生の場合、そういった機会はあまりありません。

 「成績を上げるには、こんなふうに勉強方法を変えたほうがいい」と私が伝えたとしても、「それを受け入れて、自分の勉強方法を思い切って変えてみよう」となんとなく思ったとしても、実際に行動にまで移す人はそれほど多くありません。

 だから、受験生がみんな成績アップしてしまう、ということにはならないのです。

 あなたの目の前に、大学受験に最適なやり方の書いている本があるのに、「こんなうまい話があるはずがない」と、ソッポを向いてしまうような受験生であってほしくありません。

 

短期間で成績を劇的に伸ばせる人の共通点とは?

 短期間で成績を劇的に伸ばせる人の共通点はひとつです。

 「毎年毎年、結果が出ている方法に耳を傾け、貪欲に自分の勉強方法の効率化をはかっていく人」

 二十年前と比較しても、生徒数が激減しているのにもかかわらず、大学入試センター試験の受験者数は、それほど減ってはいません。

 大学は全入時代といわれていますが、それは、あまり有名ではない私立大学の場合です。国公立大学や、有名私大の場合は、ますます難しくなっています。

 ハイレベルの生徒にとっては、まだまだ大競争時代です。むしろ、競争は激化しています。

 そんな状況の中、他の受験生に差をつけるためには、人一倍努力するのは当然ですが、もし、「勉強方法」が間違っている場合、せっかくの努力が得点につながらないことを理解しなければなりません。

 ですから、「努力」と同時に、「自分自身の勉強方法」が得点をとるための最適な方法であるかどうか、今一度見直すことが重要です。

 小学生であっても、中学生であっても、高校生であっても、とりあえずの目標は、「行きたい学校や、難関校に合格すること」でしょう。

 「行きたい学校や、難関校に合格する」ために有利といわれている進学高校や、中学に入学したいと考えている人が大多数だと思います。

 この本の中では、そういったことを前提に話を進めていきます。

 もっとも、私自身、「どんな生徒も難関大学を目指すべきだ」とか、「難関大学に行った方が将来安泰だ」なんて、全く考えてもいません。

 特に、近年では、東京大学を卒業しても、安定した職に就けない人も少なくないようです。

 そもそも、今後は、「安定した職」という概念自体が古いものになっていくかもしれません。

 偏差値が高いとか低いとかそんなことではなくて、あくまでも自分が「行きたいなぁ」と思った「想い」を実現するために、自分のかかげる目標に向かって一生懸命に勉強する、そんな姿勢を大切にしてほしいと思います。


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